カトウ矯正歯科のブログ

福井県福井市大手2-18-12 電話0776-28-1118

 院長の加藤です。7月上旬にWSLO(世界舌側矯正歯科学会)に参加してきました。WSLOとは歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う、いわゆる見えない矯正〜リンガル矯正の専門学会で2年に一度行われます。今回は私のリンガル矯正の師であるDr. Fillionのお膝元であるパリで開催されました。

  

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 学会前日にはサンジェルマン・デ・プレにあるFillion先生のオフィス見学研修に行きました。先生のオフィスは舌側矯正専門で、いつも大変勉強になります。

 

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 学会本大会では臨床的なテーマの発表がほとんどで、我々臨床家にはうれしいかぎりです。また、ブラケットを使わないクリアーアライナー等のメーカー主導(?)的な発表もなかったのが気持ちよい印象でした。

 学会会場は新凱旋門横のコンベンションセンターで、パリ中心部とはちがった都会的なエリアでした。

 

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  Fillion先生とともにパリ大学矯正学教室の臨床講師をされておられるDr. Becker との写真です。自身で大きなオフィスも持たれ、チームワークでのリンガル矯正診療という内容の講演をされました。

 

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ガラ ディナーでのWSLO会長のSccuzo先生と、大会長のFillion先生。大会運営ご苦労様でした。今後もリンガル矯正に精進してまいります。

 

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治療報告【開咬】

治療報告第9回目です。

今回は、奥歯を咬み合わせても、上下の前歯が咬み合わず開いた状態(開咬)についてご紹介します。不正咬合のなかで、咀嚼障害といった機能的障害が最も大きいケースです。

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 開咬の原因の一つとして、長期間の指しゃぶりやいつも舌が口の中で低い位置や前方にあり歯を押す癖(舌癖)により、咬み合わせや歯並びに良くない影響が出てしまうことが考えられます。

 

舌癖による悪影響とは…

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 こうした舌癖は、舌や口唇など歯に関連する筋肉のバランスを整えるためのトレーニング(MFT)を通じて咀嚼、嚥下といった正しい動きをマスターすることで改善することが出来ます。

 ただ、開咬の場合、MFTだけでは改善することはできません。やはり、矯正治療と平行して行うことが必要になってきます。開咬を改善する為には、こうした舌癖を改善し、下記の装置を用いることにより良好な治療効果が期待出来ます。

 

では、矯正治療で使用する装置について説明させていただきます。

【舌スパー付きリンガルアーチ】

指しゃぶりの防止の為、また舌癖がある場合、舌が前に出てこないようにする為に使用します。

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【顎間エラスティックス】

上下顎前歯を咬み込ませる為の脱着可能なゴムです。患者さんご自身で装着していただきます。患者さんの協力が必須です。

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〜顎間エラスティックスによる効果〜

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では、実際の治療例をご覧ください。

治療報告  上顎歯列に叢生を伴う開咬

初診時   17歳3ヶ月 女性

主訴    前歯で物がかみ切れない

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 舌突出癖をともなう開咬症例です。正常な歯数28本(親知らずは除く)のうち、右は臼歯部で上下7本、左も臼歯部で上下7本しか噛んでおらず 、開咬になっている歯数14本が全く機能していない為、前歯部で食物を噛み切ることができず、咀嚼障害が認められました。

治療は、非抜歯にて上顎歯列のレベリング後、顎間エラスティックスを使用して治療を行いました。顎間エラスティックスの使用期間は12ヵ月でした。エラスティックスの使用と舌癖改善の面で患者さんの良好な協力が得られ、非抜歯にて機能的な咬合が獲得できたことにより咀嚼障害も改善されました。予定される治療期間は2年でしたが、予定より早く1年3ヵ月で動的治療が終了し現在保定期間中です。

 

 

 

 

AAO(アメリカ矯正歯科学会)に参加してきました。

   院長の加藤です。GW中にフィラデルフィアで行われたアメリカ矯正歯科学会に参加してきました。今年で第113回目と世界で一番歴史のある矯正歯科学会です。

 

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 今回はABO(アメリカ矯正学会専門医試験)合格者の治療症例展示をメインに勉強ができました。ABOと日本矯正歯科学会専門医試験との異なる点は、ABOでは症例の難易度が要求されるところです。全般的に難易度の高い症例がディスプレイされていました。

 

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 商社展示もコンベンションセンターの大ホールでの最大規模で、ゆっくり見ていくと半日では足りません。毎年色々な新しい器具・装具・材料の情報が得られます。

 

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第8回目のレポートです。前回『叢生(八重歯)の症例に対して早期治療を行い非抜歯にて矯正治療を行う方法』について症例報告をいたしました。今回は、その早期治療に用いる主な装置、Expansion Plate(エクスパンジョンプレート)、リップバンパー、サジタルアプライアンス、Active Plate(アクティブプレート)について説明させていただきます。

下記にあげる装置は主に取り外しのできる矯正装置ですので、ハミガキしにくいとか、食事の制限・食べにくいということがありません。小学校低学年の患者さんも無理なく使用できるものです。

 

【痛み】個人差があります。圧迫感を感じる方がおられますが、その場合でも2~3日程度で必ず治ります。

 

【使用時間】食事、歯磨き、お風呂に入ってリラックスするときは外し、それ以外はなるべく長い時間装着します。 装置を着けたままだと支障が出る場合(学校の授業、習い事、部活の時など)は短時間であれば外していただいて結構です。 

 

【保管方法】装置をお渡しする際は専用のケースを一緒にお渡ししています。装置を外した際はそちらに入れて保管していただきます。そのままポケットに入れたり、外食時などティッシュに包んで置いておくと破損、紛失の原因になります。

また、装置を清潔に保つため、装置も歯ブラシでこすって水洗いしていただくようお願いしています。

 

 

 

 早期治療に使用する装置

【 Expansion Plate(エクスパンジョンプレート)】

幅の狭い歯列の幅径を拡大することにより(奥歯の側方移動)、永久歯の萌出スペースを増大させる装置です。奥歯のすれ違い咬合を改善させることもできます。

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【サジタルアプライアンス

第一大臼歯(奥歯)を後方に移動させることにより、奥行きの狭い歯列を拡大し、側方歯(その後萌えてくる永久歯)のためのスペースを増大させるための装置です。

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【リップバンパー】

上記のサジタルアプライアンス同様、第一大臼歯(6歳臼歯)を後方に移動させる装置です。口唇圧を利用し奥歯を後方へ移動させるので、痛みは全くありません。

第一大臼歯(6歳臼歯)にバンドという装置を装着しそこにリップバンパー(取り外し式)を入れて使用します。 

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【Active Plate(アクティブプレート)】

前歯を前方に移動させることで、前歯部の受け口を改善させる装置です。

歯列の前後径を増やし、スペース不足をすることのできる装置です。

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まとめ

 混合歯列(永久歯が萌えそろう前、7〜8歳前後頃)から矯正治療を開始できる場合、上記の様な装置を用い、スペースを増大させる治療方法を行い、十分な結果が出た場合に永久歯を抜かないで矯正治療が達成できる場合が多々あります。

いずれの装置をどのような手順で使用していただくかは、適切な診断のもとで決定されます。

治療報告【叢生(八重歯)に対しての早期治療】

症例報告第7回目は第4回目に引き続き、叢生(八重歯)の症例に対して早期治療を行って非抜歯にて歯列の整直を行う方法についてレポートいたします。

 混合歯列(永久歯が萌えそろう前、7〜8才前後頃)から矯正治療を開始できる場合、下記の様なスペースを増大させる治療方法を行い、結果十分な効果が出た場合に永久歯を抜かないで矯正治療が達成できる場合が多々あります。

 

Expansion plateによる上顎歯列の側方拡大:患者さん自身で取り外しのできる装置により上顎側方歯の側方移動を行い、歯列の幅径を増加させる。→永久歯の整直を行う→前歯の前方移動or奥歯(大臼歯)の後方移動を行い歯列の前後径を増加させる。→永久側方歯の整直を行う。→歯を抜かないで全ての歯並びが整直できる。〜というものです。

 

では実際の治療例をご覧ください。

 

 

 

治療報告 叢生

初診時  8歳3ヵ月 男性

 

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治療報告【 舌側矯正(見えない矯正)治療】

治療報告第6回目です。

今回は、舌側矯正(見えない矯正)治療についてご紹介します。

 

人に気づかれずに歯並びが治せたら・・・

「矯正治療はしたかったけれど、今まで思い切れなかった…」

「歯並びは治したいけど目立つ装置は付けたくない。」

「人に気づかれずに歯並びを治したい。」

「仕事で人に会うことが多いから…」

 

 このような理由で矯正治療を躊躇していた患者さんにお応えできるのがリンガル矯正(見えない矯正)です。歯の裏側(舌側)に装置をとりつける矯正なので外から見えず、ほとんど気づかれることなくすばらしい歯並びを得ることができます。

 現在では装置自体が小さくなり、装着後の違和感、発音のしづらさも非常に軽減されました。舌側矯正治療は、社会のなかで美意識を育て上げた大人の方にもぜひお勧めしたい治療法です。

 

 今回は、舌側矯正と歯を人工歯根(インプラントアンカー)を固定源にして引っ張り、移動していくという最新の治療法『インプラント矯正』にて治療を行った症例のご紹介です。『インプラント矯正』により、かなり難しい症例でもインプラントアンカーの使用で治療が可能になりました。

 

治療報告【骨格性上顎前突〜インプラント矯正〜】

初診時 15歳11ヵ月 男性

主訴  上顎前突

 

 重度の骨格性上顎前突症例で前歯部の著しい咀嚼機能障害と、口唇の閉鎖不全がありました。年齢的に今後の成長発育があまり残されていないため、ヘッドギアによる上顎骨の成長コントロール治療は期待できません。

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 上顎第一小臼歯(2本)の抜歯を行い、矯正用インプラントアンカーを用い抜歯スペースを最大限に利用して上顎前歯の後方移動を計画しました。これにより安定した効率の良い最大の前歯リトラクションが可能になります。

 

 

 

 

 

 

矯正用インプラントアンカーの使用と舌側矯正治療により上顎前突も完全に改善され、良好な咬合状態が得られました。上顎前突ならびに口唇の突出感もなくなり、自然な美しい口元に変化しました。

 

 

治療報告【反対咬合(受け口)】

 治療報告第5回目です。

 上下顎骨の前後的不調和が原因となっている骨格性反対咬合(下顎前突症)の治療方法についてご紹介します。この様なケースは経年的に上下顎骨のズレが進行し、したがって反対咬合(受け口)の範囲・度合いが悪化するのが特徴です。

 上顎骨の劣成長を改善し上下顎骨のズレを改善するため、下記のFMA(上顎前方牽引装置)を成長発育の旺盛な時期に使用すれば良好な治療効果が期待できます。

 〜FMA(上顎前方牽引装置)〜上顎歯列の固定式装置を支点にマスクタイプの装置で、ゴムリングを用いて数百グラムの力で上顎骨を前方に牽引することで、良好な上顎骨の成長を促進させることが可能になります。(在宅時間のみ装着して頂きます。)

 このFMAの効果は反対咬合(受け口)の改善のみならず、反対咬合の方の特徴的な上口唇の陥凹感も改善され、審美的なお口もとが得られます。

 

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初診時 7歳5ヵ月(小学2年生) 女性

主訴  反対咬合

 

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FMAを14カ月使用して頂き、前歯部の反対咬合の改善が認められました。

上下顎骨の前後的不調和(ズレ)の指標であるANBアングルもマイナス2°からプラス2°へと良い方向に変化しました。今後もFMAを続けていただくことでさらに良い変化が期待できると思われます。