カトウ矯正歯科のブログ

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治療報告【開咬】

治療報告第9回目です。

今回は、奥歯を咬み合わせても、上下の前歯が咬み合わず開いた状態(開咬)についてご紹介します。不正咬合のなかで、咀嚼障害といった機能的障害が最も大きいケースです。

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 開咬の原因の一つとして、長期間の指しゃぶりやいつも舌が口の中で低い位置や前方にあり歯を押す癖(舌癖)により、咬み合わせや歯並びに良くない影響が出てしまうことが考えられます。

 

舌癖による悪影響とは…

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 こうした舌癖は、舌や口唇など歯に関連する筋肉のバランスを整えるためのトレーニング(MFT)を通じて咀嚼、嚥下といった正しい動きをマスターすることで改善することが出来ます。

 ただ、開咬の場合、MFTだけでは改善することはできません。やはり、矯正治療と平行して行うことが必要になってきます。開咬を改善する為には、こうした舌癖を改善し、下記の装置を用いることにより良好な治療効果が期待出来ます。

 

では、矯正治療で使用する装置について説明させていただきます。

【舌スパー付きリンガルアーチ】

指しゃぶりの防止の為、また舌癖がある場合、舌が前に出てこないようにする為に使用します。

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【顎間エラスティックス】

上下顎前歯を咬み込ませる為の脱着可能なゴムです。患者さんご自身で装着していただきます。患者さんの協力が必須です。

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〜顎間エラスティックスによる効果〜

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では、実際の治療例をご覧ください。

治療報告  上顎歯列に叢生を伴う開咬

初診時   17歳3ヶ月 女性

主訴    前歯で物がかみ切れない

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 舌突出癖をともなう開咬症例です。正常な歯数28本(親知らずは除く)のうち、右は臼歯部で上下7本、左も臼歯部で上下7本しか噛んでおらず 、開咬になっている歯数14本が全く機能していない為、前歯部で食物を噛み切ることができず、咀嚼障害が認められました。

治療は、非抜歯にて上顎歯列のレベリング後、顎間エラスティックスを使用して治療を行いました。顎間エラスティックスの使用期間は12ヵ月でした。エラスティックスの使用と舌癖改善の面で患者さんの良好な協力が得られ、非抜歯にて機能的な咬合が獲得できたことにより咀嚼障害も改善されました。予定される治療期間は2年でしたが、予定より早く1年3ヵ月で動的治療が終了し現在保定期間中です。